第10章 恋人同士
「…」(下着…どうしよう…また…洗濯機貸してもらう…?)
「お風呂洗ってくるね。」
「う…うん…。」
私は時計をもう1度見る。19時30分。
「…」(まだ…やってるかな…。)
私は立ち上がり、バッグを肩にかける。浴槽を洗っている黒河さんのところへ行き、一言声をかけた。
「黒河さん…出かけて…くる…。」
「ん、え、どこ行くの?」
「服…買いに…。」
「俺も行く、ちょっと待ってて?」
「ひ、1人で…行く。」
「…なんで?危ないよ?」
「だ、大丈夫…だから…。」
ついてきてほしくない……気まずい…。
「…わかった…じゃあ、車で送らせて?心配だから。お店には入らないから、送り迎えだけさせて?」
「!……わ、わかった……ありがとう。」
私は微笑んだ。
「どういたしまして。じゃあちょっとだけ待ってて、すぐ終わらせるから。」
「うん。」
本当に、優しい彼氏さんだと思う。
*
「ここでいい?」
「うん、ありがとう。」
「はーい、あ…お財布。」
「!…い、いらない…。」
お風呂掃除が終わり、車を運転してもらって洋服屋さんに着いたのだけれど……。
「ダメ、持っていって。」
「私物買うんですから…私のお金で」
「ダメ、俺が出したいの。」
黒河さんがお財布を渡してきます。