第10章 恋人同士
「あ~、ホントに可愛い。」
黒河さんは、ようやく耳から口を離した。
「…」(終わった…良かったぁ…。)
「…ねぇ…。」
「…?」
「ホントに飲み会行くの?」
「う、うん…だって…断るの…悪いし…。」
「ん~……行っても…いいけど…気をつけて?あと、彼氏いるかって聞かれたらちゃんと言うんだよ?います、って。写真も見せていいから。」
「……黒河さんの写真…持ってない…。」
「え……あ、確かに…撮られてないかも…。」
「…」
私はスマホの画面をつけ、カメラのアプリを開くと黒河さんの方にカメラを向けた。
「え、やだ。」
「なんで嫌がるの…!」
「だって…恥ずかしい…し…。」
「なんで…!じゃあ写真見せられない…。」
「…じゃあ、一緒に撮ろう?」
飲み会で聞かれた時用に見せる写真撮影が始まった。
「あっ、これ可愛い、ん、これも可愛いじゃん。」
「可愛くない……私じゃなくて…黒河さんの写真見せるんだから…。」
「あ…確かに。」
*
「…」(いっぱいだ…。)
一気に増えた写真。2ショットもあれば黒河さんだけが写っている写真もあった。