第6章 息も出来ぬまま *
「…どうした?」
兵長は驚きを隠せないまま振り返り聞いてくる。
私はハッとして兵長の腕を離すけど…寂しいから、行かないで欲しいから掴んで止めたなんて言えない…。
「っ…す、すみませんっ…ちょっと…反射的に…」
顔を逸らしながら苦し紛れの言い訳を言うと兵長は私の側に来てベッドの端に座れば、私の肩を片手で自身へ引き寄せ頭を撫でてきた。
「…!?へ…へいちょ…」
「なぁ、今夜一緒に寝ても良いか?」
「え…」
「お前の側に居たいんだが…駄目か?」
優しい声と甘えるような口調が頭上から降り注ぎ心臓がドキドキして思考が停止する。
兵長からこんなこと…ひょっとして…私の言いたかったこと…分かって…?
「…あ…駄目じゃないですっ…!私も兵長と一緒に居たいですし…離れたくないですから…!」
兵長の服を掴んで顔を上げてそう言えば、兵長は嬉しそうな表情を浮かべていて…
「そうか。なら良かった。」
「っ〜〜!!」
あまりの優しい表情に顔が熱くなって目線を合わすことが出来ない…。
本当…この人はずるい…。
「…。」
「…はい。」
「…キスしたい。いいか?」