第6章 息も出来ぬまま *
「.っ…嬉しいです…私も兵長と同じ気持ちです…」
掠れた声で必死に言葉を紡いで想いを告げれば、兵長は愛しそうに目を細めた。
またその表情にドキリと心臓を高鳴らせる。
「そうか。…埋め合わせしてもいいか?」
「?…埋め合わせ…ですか?」
「あぁ。今度の非番に街へ出掛けないか?」
え…?
思わぬ提案に目を丸くし兵長を見つめる。
「ぇ…良いんですか?…仕事とか…」
「心配しなくてもいい。もう終わらせてある。それにあまり街へ出るなんざ…した事無かっただろ?」
「確かに…そうですけど…」
「お前と一緒に街を歩いてみたいと思ったんだが…嫌か?」
強請るような甘い声と優しい問いかけにドキリと心臓が跳ねて…
私は顔を少し赤らめながらフルフルと首を横に振った。
「…嫌じゃない…ですっ…兵長と一緒に街歩きたいですっ…!!」
枯れてしまった喉を絞り出すように声を出して気持ちを告げれば、兵長は嬉しそうに口元を緩めて温かい手で頬を撫でられる。
「なら良かった。楽しみにしてる。」
「!…私も楽しみにしてます…!」
「ああ。今日は無理させちまって悪かった。ゆっくり休め。」
ポンポンと私も頭を軽く叩き兵長はベッドから腰を上げる。
あ…行っちゃう…
そう思ったら居てもたっても居られ無くて手を伸ばし兵長の腕を掴んだ。