第6章 息も出来ぬまま *
その瞬間、二つの唇の間を銀色の糸が繋ぐが途中でプツリと切れた。
息苦しかったのもあって肩を弾ませながら胸いっぱいに酸素を取り入れていると兵長は唇を塞ぐのを止め首筋へと顔を寄せてカプっと強めに甘噛みをしてきた。
「ひぁっ!?ちょっ…はぁ…へいちょ…ン!」
呼びかけても何も答えずに胸を触っていた手が服から出ていくと団服のボタンを片手で器用に外していく。
この人…本気だっ…
ドクドクと心臓が慌て出し、流石に扉の向こう側に通路があるとこではしたくないっと兵長の肩を片手で押すが…
全くビクともしなければ、咎めるようにまた首筋を噛まれそのまま耳朶へと歯を立てられた。
「ン…!ぁっ…やあっ…!へいちょっ…」
「…、うるせぇ…」
耳元で低い声色が響いてくる。
怒っているような声色にそれにすらゾクリと甘い痺れが背筋を駆け上がる。
やばい…
「はあっ…ちがっ…ココはやっ…」
震える体を何とか抑え、必死に兵長に移動しようと誘う。
すると耳元から顔が離れてふと目線が絡み合うとそこに居たのは…お腹を空かした狼が獲物を捕えようと狙いを定めた眼差しをした兵長がいた。
それにドキッと不覚にも心臓が跳ね上がる。
「っ〜〜…あの…ベッド…」
「…悪いがそこまで連れていく余裕がねぇ。」
色艶を浮かべる瞳の奥には欲と熱。
衝動を抑えるような声に体が動かず言葉が出てこない。
それをいい事に兵長は再び牡丹を外そうとしていた手が動き始め、手を絡めていた手が離されれば背中へと手を回される。
襟に人差し指を引っ掛け一気にグイッと下げられて…肩が露わになるとカプリと強めに噛まれた。