第10章 愛とこの熱さと温もりの意味【後編△】
翌日…。
あれから中々泣き止まなかった私に一晩中寄り添ってくれて…。
目が覚めると泣き過ぎたせいか目元が腫れ上がってしまい、それを見た兵長は朝早々お湯を湿らせたタオルを持ってきてくれて今私の隣に座って付き添ってくれていた。
「っ…すみません…」
「謝らなくていい。それより目は大丈夫か?」
「あ、ちょっと痛いです…」
目元に温かいタオルを当てながら言うと兵長は少し心配そうに顔を覗き込んでくる。
「…赤みと腫れが酷いな。暫くタオル当てて休んでろ。」
「え…でも訓練とか…」
「今日は訓練休め。今は腫れと体を休める事が優先だ。」
「…わかりました。」
渋々頷くと兵長は頭を撫でてきた。
やっぱり相変わらず温かくて…落ち着く。
「俺はこれから職務で離れるが、お前はここでゆっくり休め。」
「え、ですが…」
「昨夜も言ったはずだ。遠慮するなと。それにあまり寝てねぇだろ。」
そう言いながらスルッと目元へと指先を滑らしてくる兵長。
確かに昨夜はあまり眠れなかった…。
だからかちょっと体が重いし、少し眠気も残ってる。
「…はい…」
「とにかく今は目元と体を休ませることだけに集中してろ。いいな?」
「…わかりました。じゃあ…お言葉に甘えてゆっくり休みます…」
そう言うと兵長は満足そうな表情をしてポンポンと頭を軽く撫でるとベッドから腰を上げて扉へと歩き出す。
その後ろ姿を見ながら目元へとタオルを当て直せば、兵長は最後に私へと振り返り一言言った。
「行ってくる。」