第10章 愛とこの熱さと温もりの意味【後編△】
え…?
びっくりして振り返ると横になったまま、眠っていたはずの兵長の瞼が開いていてこちらを見つめながら手首を掴んでいた。
「…あ、兵長…」
「…どうした。」
「え…あ、自分の部屋に帰らないとと思いまして…」
帰りたくない気持ちを隠しつつ言うと兵長はじっと私を見つめ口を開く。
「まだ帰るには早いだろ。」
「ですがっ…ここは兵長の寝室ですし…迷惑に…」
「迷惑だったら最初からここに連れて来ねぇしてめぇを引き留めたりしねぇ。」
ハッキリと言われ、私はただ目を白黒させるばかり。
そんな私に痺れを切らしたのかグイッと手首が引かれドサッと音を立ててベッドへと倒された。
え…とびっくりしていれば兵長は掛布を手に胸元まで掛けてくれて。
そして私を抱きながら頭を撫でる大きな暖かい手。
「…あの…」
「変なこと考えず今はゆっくり寝てろ。」
「…っ、良いんですか…」
「ああ。それに嫌だったらとうの昔に追い出してる。」
そう言って兵長は頭を撫でる手を辞めて頬に手を移動させ目線が合わされば言い聞かせるように言う。
「前にも言ったはずだ。俺はお前の居場所になりてぇ。だから気を遣うな。」