第10章 愛とこの熱さと温もりの意味【後編△】
兵長からの提案に私は悩みつつもこの腕の中から離れたくはなくて…。
だから体から力を抜いて抵抗せずされるがままにしていると兵長は小さく笑い頭をポンポンと撫でてくれた。
やっぱりこの人から与えられる温もりは不思議と嫌じゃない。
心臓は相変わらず煩いけど…でも離れる気にはなれない。
兵長は一体私に何をしたんだろう…?
こんな気持ちは生まれて初めてだ。
知らなかった温もりと感情に考えを巡らせていると色んな気持ちに触れたせいか段々ウトウトとしてくる。
気付いた兵長は頭から背中へと手を滑らせて子供を寝かせるように一定のリズムで叩かれる。
こんなとこで寝たらダメなのに…。
目を閉じないよう意識を持たせてみても効かず…。
ん〜〜と眠気に抗っていると兵長は優しく声を掛けてきた。
「我慢しなくていい。眠たかったら寝ろ。」
「…ん…で、すが…帰らないと…」
「気にするな。何も気にせず今はゆっくり休め。」
低く落ち着いた声色に誘われるように私はスゥと夢の中へと落ちていった。