第8章 愛とこの熱さと温もりの意味【前編△】
兵長の問いに不思議に思いながらも掛布を握り締めたまま答える。
「…はい。そうですけど…」
すると兵長は溜息をつき髪をかきあげる。
「…来て正解だったな。」
「え、、?」
「…お前が中々部屋に来ねぇからハンジが心配していた。」
兵長の返答に目を丸くしてん?っと頭の中がハテナで埋まる。
時間とか約束はしていないし…今って朝じゃないの…?
窓の外は太陽が煌々としていてそんなに遅い時間に自分は起きたのだろうか。
「…あの…でもまだ朝じゃ…」
「あ?何言ってやがる。もう昼だぞ。」
兵長の眉が顰められながらそう言われてしまい私は目を丸くする。
かなりの時間…私眠ってたってこと…?
知らなかった…。確かに昨夜…彼は朝方まで私を離さなかった…。多分それで…疲れて…。
軽く息を吐くと兵長はシーツに手を置き重心を掛けながら頬に空いた手で触れてきた。
「…!な…何ですか?」
「…顔色があまり良くねぇな。ハンジの所には行けそうか?」
さっきの険しい顔付きから一変して、今度は優しい雰囲気を醸し出し心配そうな声色で聞いてくる。
あまりの変わりようさにびっくりしたのと…この人こんな表情や声を出せるのかと…新たな発見に目を見張る。
「…あ…多分…大丈夫です。」
目を逸らして触れられている手を振り払うように顔を背けてしまう。
だってなんか…温かくて擽ったくなって…
避けたくなる。