第77章 咲くは朱なれど散るは白
無惨と白藤の間に何かがあったのだろう。
とはいえ、事態が飲み込めない冨岡は、『お前達はどういう関係だったんだ?』という言葉を飲み込んだ。
たとえ彼女達が真実を語ったとしても、それを聞いた自分が冷静でいられるか分からない。
俺の知らない白藤。
先程の上弦の壱の様にかつて恋仲だったのか。
「白藤さん」
炭治郎に急に腕を引き寄せらて、戸惑う白藤。
「炭治郎、君?」
「白藤さんと無惨の間に何があったかは分からないけど、俺は、白藤さんを信じます」
「………」
真摯な瞳。
彼の真っ直ぐな人柄とその心根が胸の中にじんわりと広がっていく。
とても暖かくて心地よい。
耳飾りの日輪が揺れる。
「ありがとう、ございます……」
ああ、やはり。
彼もまた、人を引き寄せるのだろう。