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Honey Strawberry【BL】

第2章 思いの交差


その子は俺が中学に上がってから
亡くなった。
手術があったんだけど、
耐えられなくなって
どんどん弱ってって
亡くなってしまった。

俺の誕生日の日、その子から手紙が届いた。
『誕生日おめでとう。』
そう書いてあった。
誕生日が悲しかった。

その子が亡くなる前に、
その子と約束したことがあった。
それは、
『自分はもう生きられないから』
『代わりに声優になってほしい。』
そう言われた。
俺は声優と言うものがどういう職業なのか
分からなかった。
でも、その子が俺に託してくれた夢だから
何が何でも叶えようと思って
演劇部に入った。

それが今に繋がる最初の第一歩だったのかもしれない。
俺は演劇部に入っていなかったら
歌ってみたとか興味なかっただろうし
あれがはじめてだったと思う。

そうして、相談できる人を一気に失って
始まった中学校時代だった。
友達と呼べる人が徐々に増えていった。
1人、親友と呼べる子が出来た。
クラスの中心にいるようなおちゃらけてて
そこに居るだけで周りが華やぐような子だった。
背の高い。
その子には亡くなった友達のこととか
家庭がやべーよー!
とか、会話のネタとして、俺にとっては
それが普通のことだったから。
「朝またお兄ちゃんに暴言吐かれたよ〜!」
「漫画好きだとか人間じゃね〜とか」
「酷くね!?お前の方が人間じゃねえよ!w」
とかいって笑って話してた。
そしたら、林間学校でバスで行く途中で
その子が突然泣いちゃって、
「何で泣いてるの」って聞いたら
『何も出来なくてごめんね。』
って言われて、
俺がいつも話してた家庭事情は
この子が泣いちゃうような事だったんだ!
その時初めて気づいた。

確かに、当時俺が中1の時、
お兄ちゃんは高3で
絶賛大学受験期!
もちろん、勉強なんかしてないし、
家んち借金だらけで塾にも行けないし
それなのに、塾に行ってたのは
お母さんが親戚の人に頭下げてお金借りてた。
それなのに、お兄ちゃん全然勉強しなくて
言い争いなんて可愛いもんだよ。
常に冷戦状態!
挙げ句の果に、遂にお母さんが包丁持ち出して
『アンタなんか殺してやる!!!』
『殺してみろよ!!!』
って言って、めちゃめちゃ怖かった。
そんな細かい事は友達に話してなくて、
でもそこから、また崩れ始めた。


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