第84章 新たな拠点、新撰組
「そうだよ、レンちゃん。君が怪我をしたら一大事だよ。」
燭台切の言葉に堀川も、うんうんと頷いて見せる。
「昼間行きましょう。僕達がお供しますから。」
その言葉にもレンは耳を貸さず首を振る。
「いいえ、ちんたらしてたら進みません。山崎さん達にもおそらく限界があります。私は私で進めないと後手に回りかねません。」
「「レン!」」
「聞きません。私達が何の為にここにいると思ってるんですか。」
「だからって…!」
「私はお飾りとしてここに来たわけではありません。私には情報を集められるだけの技量があります。そうでしょう?私を活かしてください。」
レンの言葉に加州は言葉が続かない。
土方は黙って彼らを見守る。
「なら…ボクが付き添う。どう?丁度、レンの修行も途中になってるでしょ。稽古も同時につけてよ。」
ね?と乱が縋るように言うと、彼女は少し考えた後、はい、と頷いた。
「分かりました、並行しましょう。ということで外出します。」
レンは土方を見る。
お伺いを立てるのではなく、事後報告なのは如何なものかと思うも、レン達は客人としての立場で新撰組ではない。
土方は、はあぁとため息をついた。
「…いいだろう。こっちに報告するのであれば止めやしねえ。」
「分かりました。あぁ、それと。もっと動きやすい服を借りたいのですが。」
山崎に初めて会った時に、彼は黒い忍服のような物を着ていた。
出来ればそれを拝借したい。
「…山崎が持ってるだろう。行ってこい。」
「ありがとうございます。乱、行きましょう。」
「え、あ、ちょ、ちょっと待って。」
刀剣達は止める術がなく、力無く二人を見送った。