第84章 新たな拠点、新撰組
「そうか。じゃあ他には心当たりあるか?」
土方の問いに彼らは首を捻った。
「他に…。うーん…。そもそも僕たち本当にこの町に来たばかりだから…。」
大和守が隣の乱を見ながら困惑気味に言うと、乱も人差し指を顎に添えて考える。
「それにレンのことだから、知らない所にはあまり近づきたがらないと思うんだよね。」
「あれ、でも…。確か昨日と今日、街を見て歩くって言ってませんでした?」
「そうだね。…ってことは…。」
堀川に相槌を打った燭台切の顔が見る見る青褪める。
それに遅れて皆の顔が青褪めた。
「ま、まさか…。」
「うそでしょ…。」
「ま、まだ、そうだとは限らないです…。」
「でもやりかねない。」
「だとすると、埒が明かなくなりそうだね。」
頭を抱えた加州と乱を堀川が宥め、大和守と燭台切もげんなりと肩を落とした。
それを見た土方は少し面白く思う。
女だから心配だ、という気持ちも無いことはないが、それにしたって青褪めるほどだろうか、と思ってしまう。
「とりあえず、山崎を呼んだ方が良さそうだな。出て探すなら、あいつに何処を回ったか聞いてからの方がいい。」
そう言って土方が立ち上がった時、すっと入り口の障子が開いた。
「あれ…?珍しいお客さんですね。」
言わずもがなレンである。
彼女は部屋に入ると、土方の周りに座っている彼らに近づいていく。