第84章 新たな拠点、新撰組
「戻りました。」
「おかえり。どうだっ…。」
戻った堀川の後ろから入って来た人物を見て、乱はピシリと固まった。
そして、そのままギギギっとぎこちなく堀川を見る。
「ごめんなさい。隠しきれなくて…。あ、でも土方さんも一緒に探してくださるそうです。」
にこにこと言う堀川に、乱の困惑は解けぬまま。
「えっと〜…。」
「何だよ、俺が居ちゃ悪いみてえだな。」
土方がムッとして見せると、乱はぶるぶるぶるっと慌てて首を振った。
「とんでもない。ただ、その…。こういう事態って罰則か何かが付いたりは…?」
そろりと聞くと土方は少しだけ息を吐く。
「付けねえよ。俺は”個人的”にここに来たのであって、”副長として”来たわけじゃねえからな。」
それを聞いた乱は、ほっと胸を撫で下ろした。
その時、早い足音が聞こえ会話が止んだ。
「レンは…!?」
飛び込む様に現れたのは加州。彼に続いて飛び込んだのは大和守だった。
「見つかった?…って、え!?」
二人は土方の姿を見た瞬間、乱と同じ様にピシリと固まった。
さすがに二回も同じ反応に会えば苛立ちもするわけで…。
「…おい。」
彼は思わず低く唸ってしまう。
「「ご、ごめんなさい…。」」
二人は目を泳がせながら、首を竦ませた。
それを見て、土方はため息をつく。
「あのな。さっきも言ったが、別にこれを知ったからって何をどうこうする気はねえ。それに、レンがお前らを置いて脱走するとも思ってねえし、不埒な真似をするとも思ってねえよ。俺がここに居るのはただの善意だ。」
「「よ、よかった〜…。」」
土方の言葉に加州と大和守は大きく息を吐き出して胸を撫で下ろした。