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君に届くまで

第84章 新たな拠点、新撰組



その後、ついでとばかりに伊東の部屋にいた声の主を特定しようと屋根伝いに部屋を見て回るが、見当たらなかった。
出かけているのか、それとも隠れているのか…。
後者であれば、理由が分からない。
だが逆に言えば、隠れなければならない人物は一人しか思い当たらない。

新見錦だ。

土方は、新見は伊藤を隠れ蓑にして表には滅多に出てこないと言っていた。
そう考えれば、伊藤が面識を持とうとしている人物は自ずと絞られる。
新見としか繋がりのない人物である、フードの男だ。
何故、面識を持ちたがるのかは定かではないが、二人を引き合わせるのは嫌な予感しかしない。
手を打つなら早い方がいい。


レンは屋根から家屋の裏側へ降りると、手足の紐を解いて身だしなみを整える。
それから表側に回り、誰もいない廊下に飛び乗った。
今歩いている所は道場に近い廊下だ。
そこは、ほぼ中央に位置していて、東西に分かれる分岐点にもなっている。
レンは部屋に帰る為、西側の通路に足を向ける。
すると、遠目にわたわたと動く人影が目に入った。
それらはレンから身を隠そうとしている様に見える。
いつもの監視だろう、とレンは踏んで、気づかぬ振りで素通りする。
奥へ端へと進んでいき、ようやっと自分達の部屋が見えてきた。

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