第84章 新たな拠点、新撰組
「おっはよ〜!」
「朝だよ〜!二人とも起きて〜!」
「…だから、早いって。」
翌日も翌日とて、レンは大和守に起こされ、乱は半ば呆れた様に文句をつける。
そして、これまた前日と同じ様に朝食の争奪戦に遭い、平和な朝が始まった。
朝食を終えてすぐ、レンは山崎達の元へ向かい、情報のすり合わせをしながら町へと探索に出かける。
今日は、一番隊は他の隊と見廻りへと出て、二番隊と八番隊は稽古日である。
昨日と同じく、暮れ七つで探索は終了となった。
彼らは館へと帰り、門を入ってすぐに立ち止まる。
「では、また明日という事でいいでしょうか。」
レンが言うと、二人は頷いた。
「そうですね。報告は俺がします。」
「山崎さんお願いします。」
「お願いします。」
島田に倣ってレンも軽く頭を下げると、その場で解散となった。
一通り見て周ったが、今日も手がかりはない。
レンの為に過去捜索した箇所を案内していたので、当たり前と言えば当たり前ではある。
時刻はそろそろ暮六つ時。
空には帷が降り始めている。
レンにとっては、本来今からが活動時間だ。
丁度、二日かけた探索の甲斐あって、地理は何となく掴み始めている。
「やってみるか…。」
レンはぽつりと呟くと、踵を返した。