第84章 新たな拠点、新撰組
「おぉ、おはよう。聞いたよ、今日は君が朝餉を作ってくれたんだってな。あぁ、いや。斎藤君もだが。だが、進んでやってくれてありがとう、感謝するよ。」
燭台切が広間に入るとすぐに近藤から声がかかった。その横で席についている土方が複雑そうに燭台切を見上げてはレンと見比べる。
彼女はといえば、加州達とまだ皿を並べている最中だ。
「いえいえ。僕達もお世話になるんですから、これくらいはやらせてください。」
燭台切は、土方視線に少し笑って返しながら近藤に答えた。
土方は、それを受けて視線を外した。
「さあさ、君達も席についてくれ。」
近藤は、燭台切と配り終わったレン達に声をかけ、彼らは言われた通りに席についた。
レン達は末席に当たる位置だ。
「では、いただきます。」
「「「いただきます。」」」
近藤の挨拶に続いて皆で挨拶をすると、一斉に食事が始まった。
「もーらい!!」
「あ!新八っつぁん、ずり〜ぞ!!」
「こういうのは早い者勝ちと相場が決まってるんだよ。」
始まって早々に、永倉は隣に座っていた藤堂から焼き魚を横取りした様である。
「そんな決まりねえだろ!!」
「沢庵は俺がいただく。」
「あ〜!はじめ君まで!!」
永倉に気を取られている内に、今度は斎藤にもお菜を取られた模様。
「くそ〜!じゃレンのを…ってあれ?」
腹いせにとばかりに、藤堂の隣に座っていたレンのお膳に手を伸ばそうとしたところで藤堂の手が止まった。