• テキストサイズ

君に届くまで

第84章 新たな拠点、新撰組



レン達が厨に着く頃には、料理は粗方終わりそうな様子だった。

「色々と興味深い話が聞くことが出来て有意義だった。感謝する。」

「こちらこそありがとう。僕の方こそ斎藤さんの味付けを教えてもらえて色々と勉強になったよ。」

斎藤と燭台切が話している横で、沖田はしげしげと眺めながら、少しつまみ食いをしている様だ。

その沖田が不意にこちらを見た。

「お”そ”よう。もうやる事終わったよ。」

「お”は”ようございます。大丈夫です、私の役目は手伝いと配膳ですので。」

沖田の意地悪に、レンは意に介す事なく燭台切に目を向ける。

「光忠、全部運んで大丈夫ですか?」

それを見ていた燭台切は困った様に笑い、斎藤は少し意外そうな顔をした。

「うん、大丈夫。そこに大きなお盆もあるよ。」

「分かりました。」

レンは答えると、お盆を引き出して皿を次々に乗せていく。

「僕たちもやろっか。」

「そうね。」

「ボク小さい方で運ぶよ。」

大和守、加州、乱もレンに続き、準備すると広間に運び始めた。
それを沖田と斎藤は興味深げに見送ってから燭台切を見た。

「君達の関係って、変わってるね。」

沖田の言葉に燭台切は苦笑した。

「少しだけ、ね。でもこれが僕達にとっては一番心地いいんだよ。」

「ふ〜ん…。」

この時代、炊き出しは女性の役割だ。
その常識で言うのなら、レン達は異質なのだろう。

「君達がいいんならそれでいいんじゃない。ね、はじめ君。」

「そうだな。人はそれぞれだろう。」

そして、それをあっさり認めてしまえる彼らも良い意味で異質と言える。
燭台切は少しだけ嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとう。さ、朝ごはんにしよう。」

彼は、そう言って二人を促した。

/ 1263ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp