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君に届くまで

第84章 新たな拠点、新撰組





「おっはよー!」

「レン、朝だよー!」

「おはようございます、レンさん。僕、ちょっと土方さんの様子見てきますね。」

レンが眠たい瞼をこじ開けて声の主を追うと、加州、大和守、堀川だった。
彼らは既に身支度を整え終わっている。

「…早すぎじゃない?」

隣から起き抜けの声が聞こえてそちらを見ると、乱が布団の上で起き上がったまま、ぼうっと三人を眺めていた。
時刻は只今明け六つ時。凡そ六時半頃である。

「おはよう。僕はちょっと厨に顔を出してみるよ。手伝えることがあるかもしれないしね。」

…早い人がもう一人。燭台切であった。
さすが、本丸の台所を担っているだけはある。

「さむい…。」

それはそうだろう。
現在、季節は冬の中の冬である。
更に言えば、レン達の部屋は西側の端。
朝の日当たりは良いとは言えない。

レンはもぞもぞと布団を被り、二度寝を決め込むことにしたのだが、

「起きてよー!今日から仕事だよー!」

そうは問屋が卸さなかった。
大和守にガバリと布団が剥がされて、辛うじて残っていた温もりはあっという間に逃げていく。
瞬時に寒さに包まれて、レンは何とも言えないまま渋々起き上がった。

「ほらほら、着替えようよ。服着た方があったかいよ。」

どこから持ち出したのか、彼女の着物は温石で温められていた。

「…随分と準備がいいですね。」

レンは渋面のまま着物を持っていた加州に言うと、彼は満面の笑みでこう言った。

「レンは冬の朝は寝坊するからね。井上さんから借りておいたんだ。」

ここまで準備されていては、起きるより他は無くなってしまう。
レンは深くため息をついた。

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