第84章 新たな拠点、新撰組
そして、その日の夜…。
「ありがとう!」
「ありがとう、レン!!」
沖田組も無事に一番隊への配属となり、早速顔合わせをしてきたようだ。
二人は帰ってくるなり、レンに嬉しそうに抱きついた。
「こんな幸運な事ってないよね。」
「何のお咎めもなしに人の身で沖田君の近くにいられるなんて。」
しみじみと言う二人の下で、レンはもごもごと踠く。
「二人とも、離してあげた方が…。」
堀川がやんわりと止めると、はたと我に帰った二人の力が緩む。
「…っ!加減してください。」
やっとのことで酸素を取り込んだレンがジト目で二人を見上げると、彼らはすまなそうに手を離した。
「「ごめんごめん。」」
「二人ともお帰りなさい。」
堀川が笑顔で言うと、二人は代わる代わる「ただいま」と返した。
「希望が通って良かったですね。」
「そうなんだよ〜。ほんと、嬉しすぎるっ!」
「国広も土方さんの所に入れてよかったよね。」
加州の言葉に、堀川は嬉しそうに微笑んだ。
「はい。レンさんが薦めてくれて、一緒にお願いまでしてくれました。」
加州はそういえば、と昼間のことを思い出す。
「光忠さんと乱はどこに入ったの?」
原田達が戻ってくる前に、加州と大和守は一番隊の隊士に呼ばれて出て行ったので、燭台切達の配属先を知らなかった。
「僕は原田さんの所。十番隊だったかな。」
「ボクは二番隊の永倉さんの所だよ。」
穏やかに話す燭台切と乱からは、気後れしている様子はない。
新撰組の面々はそっと胸を撫で下ろす。
自分達ばかりが希望通りの配属なのが少しだけ後ろめたかったのだ。