• テキストサイズ

悪魔様の言うとおり

第2章 生命尽きるまで





━━━━━夢を、見ていた。




永く短い、幸せな夢。












「……………」






ピ ピ ピ ピ ピ





目が覚めた瞬間聞こえた、無機質な機械の音。
鼻につく、消毒の香り。
固まったように動かない、鉛のような身体。



初めて見る、真っ白い天井。






「…………」







戻ってきた。






朧の中で沸き上がる感情。
瞬時に理解出来た。
ここがどこで、どーなったのか。
目が覚めた途端にすべてが、走馬灯のように朧の中へと流れ込んできた。


もう、いないのだ。
と。



自分はまた、愛する人を犠牲にして生きるのだ、と。
生きなければならないのだと。







(嘘つき)




(ルゥの、嘘つき)





願い、聞き入れたって、言ったのに。








喉から繋がる呼吸器のせいで。
泣くことさえも敵わずに。
身体を動かすことも敵わずに。
だけどひたすら心で泣き続けた。
愛する人を想って。
もう、会うこともない彼を、想って。
/ 22ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp