• テキストサイズ

徒花まみれの心臓【BLEACH】

第3章 穹を蒼とするならば





「っ、何でもねえ!」


「そ? それならええんやけど……無理しちゃあかんよ。君は真面目すぎるとこあるし…、ぼやくならいつでも聞いたるで~」


「ああ、」


少し不気味さを感じさせる中に儚さが混じった市丸独特の微笑み。警戒をしていないと言えば嘘になる。しかしそれ以上に、こいつを信じたい・知りたいという気持ちが勝るのだ。だからこそ―――朽木白哉との関係が気になってしまう。朽木と市丸はよく分からない。互い好き合っているかのように見え、その実互いを敬遠しているようにも見えなくもない。それなのに朽木と市丸の間には確かな絆というべきか、他者の干渉を許さぬ空気があるのだ。


「……市丸、お前……朽木とはどんな関係なんだ?」


「んー…白哉クンと私ん関係? そやなあ、…仲良しこよしっちゅう感じやなくて、当たり前やけど恋人同士でものうて、……相棒、とか、戦友、とか、そない感じやないかな?」


(だったら何で……そんな泣きそうな顔してんだよ、)


朽木との関係を語る市丸の顔が、酷く悲しそうで。俺の見た限り、少なくとも朽木の方は市丸のことを“相棒”として見てはいないはずだ。そんなもんじゃなくて、朽木の市丸を見る目は、本当に愛おしむような―――それでいて苦味があるような、そんな目をしている。無表情ながらも目でわかる。相棒だと言うのなら、そんな目はしないはずだ。


「てっきり市丸、お前は朽木のことが好きなんだと思っていたんだがな」


言って瞬時に後悔する。もし市丸が本当に朽木を好きだとして、それを本人から聞いてしまえば…俺はどうすればいい?別に市丸に恋愛感情を抱いている訳ではない、と思う。ただ気になってしまうだけで。


「…白哉クンのこと、勿論大好きやけどね。でも、私達が恋人同士になるだとか、そない甘い雰囲気には絶対にならへんよ。それ以前に彼は結婚してはるで。奥さんもう亡くなってはるけどな、」


「―――…そうか」

/ 135ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp