• テキストサイズ

徒花まみれの心臓【BLEACH】

第25章 うつろう絶望へ




彼女が護廷に入隊した時から。その言葉に、目を見開く。彼女が入隊したのは、僕が隊長になったのとほぼ同時期だ。つまりその頃から総隊長は藍染サンの危険性に気付いていたということで、即ちそれは、総隊長は僕達の無実を知りながらも見捨てたということで。怒りに身を任せ、総隊長を責めることが出来ればどれほど楽だっただろう。実際に嫌味の一つや二つ、言ってやろうとした僕を思い留まらせたのは、彼女だった。全てを諦めたような、貼り付けた微笑。血が滲み出るほど握り締められた手。それを目にして、総隊長と彼女を責められるほど、僕は子どもではなかった。


「…言いたいことは分かります、貴方には私を責める権利がある。後で甘んじて受け入れます、せやから、今はこれからの話をさせてくだはります?」


眉をキュッと寄せて、恐々と彼女が僕に言う。グッと我慢し、力を抜くと、大きな溜め息が溢れた。自分よりも年下の女の子に、なんと大人気ない。彼女に近づき、その手を取る。握られている拳をゆっくりと解いてやりながら、この子の事を思う。総隊長を責めれど、この子を責めるのはお門違いだ。一体、どんな気持ちで、この百年を過ごしたのだろう。揺れる瞳が僕を映す。怒るつもりはないと、静かに微笑んでやると、更に泣きそうな顔をする。後悔の色。それだけでこの子を信じようと思うには、充分だった。


「……今回お主ら二人を呼んだのは、他でもない藍染のことじゃ。市丸、そっちはどうかの」


「…藍染隊長は崩玉の覚醒を待ってはります。破面を創り出して着々と戦力を拡大してるんはご存知でしょう。先日現世に送った虚は試作品に過ぎまへん」


「崩玉の覚醒には時間がかかる。決戦は冬頃になりそうっスねぇ」


「藍染隊長のことや、恐らくそれより早うなると思ってもろた方がええかと」


「ふむ。して、現在どれほどの戦力を有しておる?」


/ 135ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp