第24章 神様は杜撰だから
いずれ彼らを見殺しにする私が、破面と馴れ合ってはならないのは重々承知している。けれど、身体に空く穴が示すように何かが欠落していても、彼らにだって感情はあるのだ。生きていて、こうして意思疎通が図れる。意志がある。藍染隊長についてきていなければ、私はそんなことも知らずに彼らをただ斬って捨てていたのだろう。死神は虚を当たり前のように斬って始末する。それを嘆いていたゾマリの言うことも尤もなのだと、少し思った。虚と上手に付き合っていく方法があれば良いのに。
「あかん、情が沸いてしもうてる」
「あ?」
「ただの独り言や、気にしはらんで。…というより、キミ変わってるなァ。十刃みーんな私にあんま関わろうとせんのに、ええの?」
十刃は東仙サンに話しかけることはあれど、あまり私に関わろうとしない。嫌われてはいないと思うが、折角一緒に住んでいるのだから、もう少しふれあいが欲しいと思うのは仕方の無い事だと思う。馴れ合いは良く無いが、彼らのことをきちんと知りたい。単に戦力としてではなく、一人の人として扱いたいのに。
「…恐ェんだろ、お前に近づくの」
「嘘ぉ。藍染隊長よりは怖ないやろ!」
「その藍染サマのお気に入りだから近寄らねェようにしてんだろ」
「えぇー…」
つまり藍染隊長の所為、ということで良いのだろうか。彼は公私混同しない人だから私に生意気な態度を取っても咎めることはしないはずなのだが、十刃はそれを理解するには藍染隊長との付き合いが浅い。みんな何だかんだで藍染隊長の顔色を伺っていることに驚きつつ、妙に納得した。---そして、そんな中でも、私に関わろうとしてくれるこの問題児にも。
「キミは私に関わってくれるんやね」
「…東仙よりかは話が分かる」
「キミは本当に東仙サンと仲悪いなァ」
ブレない彼に苦笑いをひとつ。
その後、藍染隊長や東仙サンに対しての彼の愚痴を聞きながら、比較的穏やかな時間を過ごした。結果、何故か懐かれた。
神様は杜撰だから
(零したそれを、私が拾っても文句はないだろう)