第24章 神様は杜撰だから
グリムジョーが最前線で戦いたがるのなら、護廷の者と戦う確率も高くなる。つまり、鬼道を使われる確率も同様に高くなるはずだ。ならば、鬼道を破れるように練習しておいた方が良いだろう。…決して、グリムジョーに肩入れしている訳ではない。グリムジョーが更に強くなって、護廷の者が敗れて死ぬ、という未来は最悪の結末だ。けれど。彼は今日の戦いで、黒崎一護君に少なからず執着したはずだ。どんな手を使っても、彼と戦い、喰らおうとするだろう。黒崎一護君は鬼道は使えない。鬼道を破る練習をしたとしても、恐らくはあまり意味を成さないから。(躾する、言うてもうたしね。これくらいええやろ、)
「ぐっ…こんなもの…!!」
力づくで抜け出そうとする彼に、ふと笑みが零れる。少し、平子隊長と似ているなぁと思う。あの人の方が何倍も切れ者だけれど、ふとした時に面影を感じるのだ。なんとなくだけれど。
「鬼道に霊圧流れてんの、分かる?その霊圧の流れと逆回転の霊圧を注ぐように意識するんや」
そう助言すると、彼は要領を得たらしく、すぐに鎖条鎖縛を破壊して抜け出した。随分あっさりとやってのけたことに感心する。首をゴキリと鳴らした彼は、面倒臭そうに口を開いた。
「鬼道、か…面倒臭ェモン使いやがる」
けど、悪かねぇ。ニッと、凶悪な笑みを零した彼は、ズカズカと近寄って私の隣に座った。
「お前、強いのか?」
「弱くはないやろね」
「……さっきの鬼道とやら、暇潰しには悪かねェ。暇な時は俺の相手しろ」
横暴に言ってのけた彼が、そっぽを向く。耳が少し赤くなっているところを見ると、照れているのだろう。内容としては可愛らしいものではないが、誘うという行為に対して照れているのだろうか。照れた時に顔を背けて隠そうとする癖も、平子隊長と良く似ている。
「ええよ」