第24章 神様は杜撰だから
東仙サンからの非難がましい視線。無言で刀に力を入れられるが、それでも私が退けないと知ると、溜め息を吐きながら刀を引いてくれた。
「…市丸に感謝することだな、グリムジョー。彼女が止めていなければ貴様の左腕は今頃消えていた」
「ハッ…テメェ如きにやられるかよ」
「何だと…?」
折角助けたかと思えば、グリムジョーがまたもや東仙サンを挑発する。呆れる私を横目に、藍染隊長は何もせず何も言わずただ微笑んで見ているだけ。
「ま、グリムジョーも…」
くるりと後ろを向き、軽くジャンプしてその蒼髪に拳骨を一撃落とす。破面達はどいつもこいつも背が高く、見上げるこちらの首が疲れてしまう。その恨みも少し込めての一撃だ。
「テメェッ!」
「性に合わんくても、組織に属する以上は多少上の言うことも利かなあかんよ。な?」
「チッ………わぁったよ」
不満気に、それでも一旦引いてくれた彼に安堵する。要領の悪い子ではあるが、馬鹿ではない。
「本人もこう言うてるし、今回はこれで勘弁してやってくれません?藍染隊長」
「…良いだろう。元より怒ってなどいないがね」
「そら良かった。ほんなら私、ちょおこの子の躾してきますわ」
鎖条鎖縛でグリムジョーの身体を拘束し、そのまま引きずって彼の自宮へと向かう。最初は暴れていたグリムジョーだが、面倒になったのだろうか、次第に大人しく引き摺られるようになった。
「……なんで俺を助けるような真似しやがった」
「随分な言い草やね、あのまま東仙サンに斬られてたら、キミ、十刃落ちしてたんに。そうなったらキミの戦いたい子と戦いにくぅなるやん。…キミはもうちょっと上手に生きな」
グリムジョーの自宮に着き、ソファに座る。殺風景な場所だ。いかにも彼らしい。
「…オイ市丸、これ解けよ」
「自分で解いてみ」
「あァ!?」
「怖い怖い、そない怒らんでや。…死神は鬼道いうんを使う。キミを今縛ってるそれも鬼道や。耐性ついてた方がええやろ、破る練習やと思て自分でどうにかしてみィ」