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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第24章 神様は杜撰だから














「おかえり、グリムジョー」


東仙サンに連れて帰られたグリムジョーと藍染隊長が相対する。その様子を、藍染隊長の隣で見ることにした。


「…どうした?謝罪の言葉があるだろう、グリムジョー」


「……別に」


「ッ貴様!」


二人のやり取りを藍染隊長が止める。悪い人だと、ひっそり笑った。調和を重んじ、規律に厳しく生真面目な東仙サンと、奔放で本能に生き予測不能なグリムジョーとの相性は最悪だ。そのことを充分理解していながら東仙サンに迎えに行かせたのだから。藍染隊長の言葉に、不服そうに肯定を示す彼。藍染隊長に渋々従っているということがよく伝わる。本当に…不器用で、素直で、下手くそな生き方をしている。


「っ藍染様!この者の処刑の許可を!」


思った通りだ。東仙サンとグリムジョーは相性最悪。このままでは済まないだろう。さて、どちらが先に手を出すか。胸倉を掴む東仙サンの手を振り払いながら、グリムジョーが口を開く。


「私情だな。テメェが俺を気に食わねーだけじゃねェか。統括官サマがそんなことで良いのかよ?」


「私は調和を乱す者を赦すべきでは無いと考える。…それだけだ」


「組織の為か?」


「藍染様の為だ」


東仙サンは悪い人ではない。寧ろ良識のある人格者だ。堅苦しいと思うことはあれど、彼の平時の穏やかさや達観している部分は好きだ。けれど。彼は盲目なまでに藍染隊長を崇拝している。例えば藍染隊長が居なくなったとして、それは彼の大義と言う名の復讐心を助長するだけに過ぎない。総隊長は、東仙サンのことを許さないだろう。東仙サンに関して、総隊長は、私の前に立ちはだかるようであれば斬れ、とも言っていた。彼もどうにかして救いたいが、その手段も好機も無くて。為す術は、今のところは、無い。


「そうだ、大義だ。貴様の行いにはそれがない…大義無き正義は殺戮に過ぎない。……だが、大義の下の殺戮は---」


東仙サンが刀を抜いた瞬間、咄嗟に身体が動く。瞬歩でそこへと向かい、東仙サンがグリムジョーに向かって振り下ろした刃を、間一髪で止めた。


「……何故邪魔をする、市丸」


静かに怒る彼に、にこりと笑ってみせる。


「貴重な戦力ですやろ、わざわざ弱ァする必要もない・思うて。そも、藍染隊長は罰しろなんて一言も言うてへんし」


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