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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第22章 仕様のない既視感が首を絞める





「俺はまだ、市丸に対しては気持ちの整理がつかねぇ。あいつに直接訊かねえことには、多分、解決しない。けど、あいつが藍染の側にいる限り、俺たちは敵同士だ。情けはかけねぇ、全力で倒す」


松本も吉良も、そこは履き違えるな。そう言って、日番谷隊長はそこで口を噤む。しんみりとした空気が鬱陶しい。


「あの子ねぇ、ほーんと、ムカつくほど優しくて、しかもひとりぼっちの奴や寂しそうにしてる奴を放っておけないのよ。隊長が十番隊隊長に成り立ての頃も心細そうな隊長によく構ってたし!」


「なっ、俺は別に心細そうになんかしてねぇ!」


「大方今回もきっとそうよ、藍染に情が湧いちゃって放っておけなくなったんじゃない?…あーなんか本当にそんな気がしてきたわ。あり得る」


「市丸隊長、自分に懐いてくれている対象にとことん弱いですしね…」


「そうそう!あの子ほんっっとチョロいんだから!」


先程までのしんみりした空気が変わっていく。内心ホッと安堵しながら、適当に言ったことだけれど、本当の本当にあり得そうで。一気に馬鹿馬鹿しくなる。多分、まだ敵として相対していないから、敵だと認識しなければならないということは分かっていても、どうしても出来ない。あの子が何も話してくれなかったことに、私を置いていったことに哀しみは勿論感じている。でも、ムカつきの方が今は大きい。


「今度会ったら、一発ぶん殴ってやるんだから!」


隊長と吉良が苦笑いを零す。今はまだ、傷は癒えなくとも。こんな感じで良いのだ、きっと。











仕様のない既視感が首を絞める
(また、置いて行かれてしまった。それなら、また、追いかければ良い。それだけの話なの、きっとね)



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