• テキストサイズ

徒花まみれの心臓【BLEACH】

第21章 きっと最後の賭けだった


















虎徹勇音の天挺空羅により伝えられた真実に、疲れた果てた身体を奮い立たせる。双極の丘に行かなければならない。黒崎一護に敗れた今、ルキアの処刑が藍染の掌の上だと知った今、ルキアを救わなければならない。そして、あの女の裏切りの訳を、その口から直接聞かなければならない。駆ける。どうか、間に合ってくれ。


「殺せ、愛美」


「…しゃあないなァ、」


双極の丘に辿り着いた瞬間に聞こえた声に、思考よりも身体が先に動く。ルキアを失うわけにはいかないのだ。況してや愛美にそのようなことをさせたくなど、無い。伏せたままルキアの名を呼ぶ黒崎一護と恋次の声を聞きながら、最後の力を振り絞り瞬歩を使う。


「………ッ、」


藍染の手からルキアを奪い、愛美の刃を、その身に受ける。


「---っ!」


愛美の、驚愕に見開かれた目が、泣きそうにくしゃりと歪んだ。その表情を真っ直ぐに見つめながら、一先ず間に合ったことに安堵した。刺さった刃先の震えから、愛美の動揺が伝わってくる。良かった、と思った。彼奴の芯にある柔い部分は、まだ失われていない。身体に突き刺さった刃が引き抜かれ、彼奴の名前を呼ぼうとして、代わりに吐血する。意識が朦朧とするが、今此処で地に伏せるわけにはいかない。この身がどうなろうとも、藍染の手からルキアを守らねばならない。そして、彼奴の泣きそうな顔を、もう見たくはないのだ。


ザリ、と。藍染が此方に向き直る。その瞬間、空から派手に登場した志波空鶴。彼女が藍染に放った雷吼炮を、愛美が防ぐ。


「ひゃあ、危ないわァ」


/ 135ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp