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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第2章 積もる愛しさは永遠の秘密



こいつは市丸と義妹のことになると見境がなくなるように思う。特に市丸の場合はそうだ。義妹の場合は、兄という立場と朽木家当主という立場から不器用にしか感情を表現できないでいる。しかし、市丸のことになると……何故か更に不器用になってしまっているような気がするのは、きっと俺の気の所為ではないのだろうな。


それにしても……というよりか、いつもこのツーショットを見る度に思うのだが―――四大貴族の朽木家が現当主“朽木白哉”がここまで感情を表に出すことも、ましてや饒舌になるのも珍しい。幼い頃の短気でやんちゃな白哉が戻ってきたようで見ていて嬉しくはあるのだが、少し戸惑うのもまた事実で。それほどまでに………誰もが認める麗人、三番隊隊長・市丸愛美に執着しているというのだろうか。白哉と市丸は年が近いし、隊長になったのもほぼ同時期だ。二人にしかわからない絆のようなものがあるのだろう。


「なあ、君達は恋仲ではないのか?」


二人を見て感じた素朴な疑問。(見たところ、白哉だけでなく市丸も少なからず白哉に執着しているように見えるんだがなぁ)この二人は本当に不思議だ。白哉自体が四大貴族の最高位にある死神だし、あいつは幼少の頃と比べ物にならないくらい感情を表に出さなくなった。当主として、死神の模範として、厳格で掟を重んじるようになった。少なくとも気軽に話しかけることができるやつではない。怖いし。だけど市丸は、そんな白哉を物ともせず気軽に話しかけるし、白哉も満更ではなさそうだ。休みの日に限らずこのツーショットはよく見かけるし、行動を共にしていることが多い。容姿端麗な二人であるから、死神の間では名物になっているとも聞く。うーん、なんというか……この二人の間には誰も踏み込めない、踏み込んではいけない、そんな空気が漂っているのだ。


「えー、そんな風に見えるやろか? ふふ、残念やね、そない関係やあらへんよ」


「馬鹿馬鹿しい」


「―――…そうか」


…何だ?この二人の今の顔は。どこか切なさそうな、苦しそうな、もどかしそうな顔は。


「……愛美、行くぞ」


すくりと白哉が立ち上がり、市丸の手首を掴んで立たせる。


「浮竹はん、白哉クンがこんなんやし…私ももう御暇しますわ」


「あ、ああ。またいつでも来てくれ!」


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