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徒花まみれの心臓【BLEACH】

第12章 Hole in my heart














今日は毎年恒例の行事がある。各隊の隊長・副隊長を集めた宴会だ。…とは言えこれは名ばかりで、実際は三席以下も参加していたりする。十一番隊の三席サンや五席サン然り。勿論その主催者は女性死神協会で、実は私も女性死神協会に加入していたりする。あまり参加態度は良くないけれど、写真集なんぞには協力してあげているし、仕事をしていないわけではないから良しとしよう。


「それでは皆の者!」


「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」


意外にもこういった宴などが好きらしい総隊長が音頭を取り、乱菊や八番隊長サン達を筆頭とする酒好きがノリノリで乾杯をしていた。私も一応お酒は渡されたのだけれど、この場で飲む気はない。べろんべろんになるであろう大多数の人達を介抱するためには今この場にいるべきではないだろうし、万が一酔ってしまっては何を口走るかわからない。棄てたとは言え、深層心理に眠る本心ほど怖いものはない。


「………乱菊、楽しそうやね」


既にほろ酔い状態になっている乱菊が九番副隊長サンや七番副隊長サン達を振り回している様子を見て、彼等も大変だなあと笑みを零す。そして、誰にも気づかれないように霊圧を消し、そっとこの場を離れた。











(うん、やっぱお酒は一人で飲むんがええな)


宴会が開かれている部屋の屋根の上に腰を下ろす。立派な眺めだ。それもそのはず、此処は六番隊長サンの家の屋敷だ。総隊長命令とあっては流石の彼も逆らえなかったらしく、特別に屋敷の一部の部屋を貸してくれたのだそうだ。彼はあまり酒に強くない、というのより、酒自体を好まない。その上強制参加で場所まで提供させられるとあっては、彼が不機嫌なのも頷ける。表情は変わらなくても、霊圧は素直だ。今年はいつにも増して刺々しい。


(……あ、今十番隊長サンが怒った)


松本テメェいい加減にしろ!…いつも気苦労が絶えない彼の怒鳴り声が響く。騒がしく賑やかな宴会。屋根の上からその会話を聞くだけで楽しめる。良い肴だと微笑を零しつつ、お酒をちびちびと飲む。今日は風情のある三日月。月見酒をするのは、もしかしたらこれが初めてかもしれない。


(藍染隊長も、こない宴会に参加してはるんよね。……楽しんでくれてたらええんやけど)



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