第7章 そっと小さな声で「 」ってね
「…ハァ…………てっきり、あんたは朽木隊長とくっつくんだとばっかり思ってた。あんたって朽木隊長大好きだし、朽木隊長も何だかんだであんたのこと気にかけてるし」
「ふふ、せやから、白哉クンとはそないな関係やあらへんって。みんな誤解してはるけど、白哉クン私のこと嫌いやろし。それにな、乱菊は知らんかもわからんけど、白哉クンは既婚者やで。綺麗な奥さん居てはったもん」
「嘘ぉっ!?」
「嘘やないで」
驚きすぎてお茶を零してしまった乱菊に私は苦笑いだ。50年前くらいだったかな、瀞霊廷でも大々的に取り上げられたんだけど……やっぱり知らなかったかあ。
「ふーん、あの朽木隊長がねぇ…。でも“いた”ってことは今はいないんでしょ? あんまいい話じゃなさそうだからそこらへんは聞かないけど。……愛美、あんた…本当にいいの?」
心配そうに私の瞳を見つめてくる乱菊に微笑んで、肯定を示す。いいも何も、本来なら私ごときが近づいちゃいけないような人だもんね、白哉クンって。それに、私は卑怯だから。私のことが嫌いな白哉クンと、私が100年前に裏切った平子隊長の間で揺れて、愛憎入り乱れる藍染隊長に逃げてる、本当に---どこまでも汚い女。
「らん、ありがとう」
こんな汚い私を、心配してくれて。
「………馬鹿、」
少しくらい私を頼りなさいよ馬鹿愛美と溜息混じりに呟いた乱菊に、私は聞こえないフリをした。
そっと小さな声で「 」ってね
(そろそろけじめを着けなくちゃ)
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乱菊さんはやっぱり大切で特別な人。大切だからこそ隠し事もそれなりに多いんです。
対する乱菊さんも成代主のことが大切。いつも本心を明かしてくれない成代主に寂しく感じてたり。