第9章 西国見聞録
「…お前、本当、箱入りの姫さんなんだな…」
呆気にとられたように、男が珍しい物でも見るように瑠璃を見る。
「俺は、その大筒を船に装備しようと思って、買いに来た」
「でも……元就様の船にはもう大筒が乗ってましたわ」
思い出して不思議そうに首を傾げる瑠璃。
(俺…名乗ってないだろ?)
男が立ち止まる。
厳喝な顔で一気に殺気を纏う。
(どっかの刺客か?)
瑠璃も立ち止まる。
「元就様?どうかなさいましたか?」
立ち止まった元就を振り返った瑠璃は
悠容と不思議そうにしている。
「お前、何者だ、どうして俺の名を知っている」
※厳喝…げんかつ/きびしくしておどす。