第9章 西国見聞録

切り裂かれそうな気迫。
深緋の瞳が威嚇する。


（信長様と同じ緋い瞳でも、もっと暗い緋色……。何かを企んでいるような、不穏な笑顔…奪い壊されそうな……）

瑠璃は重い殺気に威嚇されながら、
震えに耐え、何も知らない様子で観察する。

目の前の殺気は信長とは違った凶暴さを醸している。

（狂暴…この人は、破壊的に狂悪だ…）

ジワリと迫り来るのではなく、
堂々と全面に潰乱(かいらん)の危険を感じる。





※潰乱…ぼろぼろに壊れくずれる。