第9章 西国見聞録
「上玉だろうが、美人だろうが、無理矢理連れてくんじゃねぇ」
「何処ぞの高級遊女かと思いまして…
まっ、いいじゃないですか、楽しみはったらどうてっか?えへへ」
(あ…言い逃れしようと、笑って誤魔化した…イヤやわ…)
「…あ、のぉ…えっと……」
瑠璃は怯えたフリで、おずおずと声を掛けた。
すると、褐色肌の男が、深緋の瞳を瑠璃へと向けた。
「あ"?…あぁ…すまんな。
女を買って来いと言ったつもりが、
上手く伝わってなかったみたいでな。
まっ、ちょっとした手違いだ」
困った顔だが、面倒事は嫌だと言った風に男は瑠璃を見る。
(手違い…)
ここは戦国、そんなので簡単に済む世の中だ。