第9章 西国見聞録

翌日、朝から瑠璃は光秀の手を引いて
堺の町を歩いていた。
「光秀様、昨晩は町を下見なさったの？うふふふ」
光秀は昨夜部屋を出たことが瑠璃にバレていたことを今知った。

が、関心もなく、詮索もしない瑠璃は、
「光秀様〜、これ見て、このお菓子。
とっても綺麗」
「あっ、あっちは反物ですね、
美弥さんが来たがりますね」
「堺は刃物も有名ですよね」
並ぶ店先を覗いてははしゃぎ、
並ぶ露店を梯子する。

（相変わらず、外では別人だな）


苦笑しながら光秀は後ろを着いて歩く。