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私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第18章 ディスクアイエット



『あーうーんお母さんしかいないけど…別に普通、かな』

「親父はいないのか」

『いないよ…それよりも轟くんの話ってなに?』

「ああ…どっか座れるとこにいかねえか」

『うーん、あ、じゃあ近くに喫茶店があるからそこでもいい?』

「ああ」

自分がよく集中して勉強したい時や、気分転換したい時によくいく喫茶店に彼を案内すれば、席へと座るまで終始お互い無言だった。適当にお互い飲み物を頼めば、彼が話始めるのを待つ。

どう言葉にしていいか迷った様子で轟はしばらくテーブルを眺めていれば、決心したかのように静かに口を開いた。

「今朝お母さんに会いにいったんだ」

『お母さんって、入院してるお母さん?』

「ああ」

『そうなんだ…』

確か少し前、お父さんとの因縁を話してくれた時に彼のお母さんの話も軽く聞いた事がある。

確か精神的に参ってしまい轟くんに火傷を負わせ入院させられてから会っていなかった、お母さん。どうして今日、唐突に会う気になったのかと、不思議そうな私に気づいたのかそのまま話を続ける轟。

「俺が、思い描く理想のヒーローになるには…会って話して、清算しなきゃいけないと思ったんだ」

『…』

「俺は緑谷と、お前にその機会をもらった。だけど最後の最後でまた迷って結局決勝では左側は使えなかった。…俺が俺自身の変化を受け入れる前に、正さなきゃいけないことがあると思ったからだ」

『それがお母さん?』

「ああ…たくさん話して、たとえ望まれていなくたって、親父と俺、過去から助け出したかった。結局母は泣いて謝り、あっさりと赦してくれた。それからいろんな話をして、俺が何にも捉われずヒーローを目指す事が救いになると言ってくれた」

私が彼へと視線を上げれば、そこには以前とは全く違う彼がいた。無表情ではあるものの、どこか優しげで穏やかで。

まるで彼の嬉しさが伝わってくるようで、なぜかすごくくすぐったくなった。

『よかったね』

「ああ…だけど俺がこんなにも考え直させられたのは他でもないお前と緑谷のおかげなんだ」

『私…何もしてないと思うんだけど』

「…俺の話を聞いてお前が言った事、覚えてるか」

『えっと…』
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