• テキストサイズ

私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第18章 ディスクアイエット



そんな時に突如現れた轟くんに捕まれば、またなんだかぎこちない返事をしてしまう。どうしてかあの試合から少々気まずく感じてしまい、実はあまり視線を合わせないようにしていた。

「この後暇か」

『あっと…ごめん。今日はあんまり調子がよくないから帰ると思う』

しかしそんな事とはつゆ知らず、彼はいつも通りに表情一つ変えず。

「そうか、じゃあ連絡先教えてくれ」

『えっ?』

唐突な申し出に少々驚きながらも断る理由もないので連絡先を教えれば、ありがとうまた連絡する、と言い彼はそのままその場を後にした。

一人帰っていく彼を呆然と眺めていれば、少し距離を置いていた麗日と緑谷がこちらへとよってくる。

「轟くんどうしたん?」

『うーん、なんだかよくわからないけど話したかったのかな…』

「…」

『とりあえず、帰ろっか?』

「そうだね」

気をとり直してまた再び三人で帰路につけば、私はある人物の不在にやっと気づく。

『あれ、そういえば飯田くんはなんで早退したの?』

「ああ…」

彼が早退したのは聞いていたが、保健室でずっと寝ていた私にはその理由は聞かされていない。

二人ならなにか知ってると思い何気なしに聞いてみれば、突然神妙な顔つきになる麗日と緑谷。突然ながれる重い空気に思わずいやな予感がし、緑谷が静かに話し始めた。

飯田くんのお兄さんが、ヴィランに襲われ重体。

どうやらこの事は私にも伝えて欲しいと飯田に頼まれていたようで。それを聞くと同時にスッと血の気が引けば、私の表情も徐々にこわばっていく。

(そんな…どうして)

彼らの暗い表情にも納得がいき、私も口数が減る。重い空気のまま三人で駅まで向かえば、なんとか二人を安心させようと精一杯明るく別れを告げた。

(飯田くん…)

できるだけ気持ちを切り替えようとしたものの、飯田の心境を思うとそう簡単にもいかない。

友人が大変な状況だというのに、なにもできない自分に嫌気がさす。

重い足取りでなんとか家へとつけば、電気もつけずにベッドへと倒れこむ。疲労と暗い気持ちでいつも以上に重く感じる体がベッドへと沈んでいけば、今日何度目かわからない眠気に襲われゆっくりと眠りについた。


 
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp