• テキストサイズ

私が死のうと思ったのは【ヒロアカ夢】

第17章 ダウト



「デクくん!」

「緑谷くん!」

「緑谷ちゃん!手術は無事終わったのね?」

「うん、歩けるくらいには回復してもらった」

弱々しく歩き進めれば、近くのベンチへと腰を下ろす彼。
そんな様子の彼を心配し思わず声をかける。

「休んでいた方がいいんじゃ…?」

「ちゃんとみておきたいんだ…ヒーローを目指すみんなの活躍を…」

「うん…」

そんな彼が見下ろす視線の先には、
すでにステージにいる希里と轟の姿。

相変わらず希里は不気味なほど無表情で、俯いたまま。

「希里さん…どうかしたの?」

「うん…デクくんたちの試合が終わってからどっかに行っちゃって。探したけど全然見当たらなくて…」

「そっか…どうしたんだろう」

彼が心配そうな面持ちで再び彼女に視線を落とせば、私も同様に彼女を見守った。

◇◇


「準決勝第一試合、ヒーロー科希里トバリ!ヴァーサス同じくヒーロー科轟焦凍!スタートゥ!」

試合開始の合図が響けば、すぐさま彼女めがけ氷結を繰り出す。しかし予想通り氷をよければ、すぐさま俺の近くへと移動してくる彼女。

「ッ!」

わかってはいたものの、瞬時に隣へと現れる彼女に焦り勢いよくまた氷で彼女囲う。そのまま一旦距離を取り、彼女の様子を伺った。

(あいつ…)

彼女、希里はそのまま俺が作った氷塊を個性でどかせば、光のない目で俺の位置を確認する。そのまま俺の近くへと移動してくれば、再び氷結で彼女を押しのけた。

(…なぜ手を出してこない)

俺の位置をわかっているはずなのになぜか一定の距離を保った彼女は、今までに見た事ないくらい感情のない表情をしている。

そんな様子の彼女に思わず冷や汗が流れ、再び姿を消した彼女を探す。

(…上ッ!)

そのまま勢いよく上から降って来る彼女を避けようと今まで異常に大きな氷塊を生み出せば、また姿を消す希里。

さっきから全く手を出してこない彼女はまるで、俺からの攻撃を誘っているようで。何かの作戦かと薄々考えるが、自分は飯田のようにすぐに逃げる手段がない。

不意に現れる彼女を避けるためにはどうしても反撃するしかないのだ。

「…おい…一体どうしたんだ」

『なにが』

また氷塊を避けながら飛んだ彼女に問う。
/ 155ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp