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あなただけを…

第14章 ➖甘い取引➖


「サラ僕と取り引きしませんか?…
 貴方のその痛みを…僕が取り除いて
 差し上げますから…ね?」

左目をキラキラとさせながら
詰め寄る彼

「人間の女性…と言うのを僕に教えて下さい。
 貴方の痛みを忘れさせるくらい
 優しくして差し上げますから…」

耳元で艶のある声で囁かれる

今の私にはその声が…神経毒の様で…

毒である彼の声が脳内に響き
身体を巡り思考を鈍らせる

縦に首を振り…彼を受け入れる

それを見届けると同時に
視界が反転し、顔を覗き込まれ
押し倒されている事に気付く

身を投げ出し…
少し潤んだ瞳でジェイドを見上げた
視線が交わった瞬間
唇に熱を感じ、瞼を閉じる

リップ音と水気を含んだ音が部屋に鳴り響く…

『っ…んん…んっ…』

啄む様なキスから…深いキスへと変わる
彼の長い舌が口腔内を犯していく…
舌を絡み取られ、口腔蓋を舌でなぞられる
ゾクゾクとする感覚がし
その度甘い声が漏れ出て
甘美な世界へと導かれる
キスだけで下部が疼き始めるのを感じた。

「ん… サラいい表情ですね。
 いつも強気な貴方が…僕に乱されてる。
 フフッ…そんな表情も出来るんですね
 もっと乱れて甘い声で鳴いて下さい」

首筋を鎖骨側から上に向かってゆっくりと…
舌を這わせてくる…

『んんっ…あっ…』

ビクッと身体が反応し…
反射的に抱き付いてしまう…

「その反応いいですね…
 もっと僕と乱れませんか…?」

またあの艶のある声で囁かれる…
甘く中毒性のある様な声と熱を持ち始めた身体
拒む事が出来ない…

(このまましたら…忘れられるかな…?)

微かに残っていた理性で思考を巡らせた…

『……アズール……』

彼の名を呼んでしまった事に自分でも驚いた…

(あぁ…やっぱり…あなたじゃなきゃ……)

「どうやら交渉決裂の様ですね…残念です」

彼は少し寂し気な笑みを浮かべていた…
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