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あなただけを…

第13章 ∇乱される…∇ アズール視点です。


=モストロ・ラウンジ/VIPルーム=

金庫を開け、1枚ずつ彼女の名前を探す

最後の1枚から彼女の名を見つける。

(コレは…最初の契約書?彼女が最初の…
 内容は…彼女も人魚なのか…だから僕を
 知っていたのか…他には……)

彼女から魔力を担保に若返らせ
人魚の力を貰う代わりには僕に会える

そんな不思議な契約…

契約者の事は隅々まで暗記していた
契約内容、日付、その時の表情まで…
なのに彼女に関する記憶は一つもない

触れてはいけない…そう、解っていても
探らずにはいられなかった。

契約書をもう一度確認すると
僕の名前を見つけた
僕の名と見覚えのない契約内容……

(あぁ…僕が愛せない理由はコレだったのか…
 興味が出なかったのも頷けます。しかし…
 この契約内容からするに僕は彼女に……)

自分の契約内容を見て
これ以上彼女に深く触れてはならない。
頭の中で警鐘が鳴り響いていた…


だが、ここまで心乱され尻尾を巻いて逃げる
などというのも癪に触る……

『あぁ…利用してやればいいじゃないか…』

ラウンジで客寄せパンダとして働かせ…
監視下に置き、彼女の弱みを握れば
逆らう事はない。寧ろ駒として…

そう考えていたのに上手く事が進まない…

彼女は僕の考えなんか飛び越えて
思いもよらない案や交渉を持ちかけてくる。

(どこまで僕を馬鹿にするんだ…
 何故僕がこうも乱される……)

苛立ちと虚しさが押し寄せる…
ならば…辱めてしまおう…
彼女には着こなせないであろう寮服に
ささやかな復讐を…

この行動も裏目に出てしまった……

僕の渡した衣装をただ着る訳ではなく
薄暗いラウンジでも映える様なメイクを施し

僕らを魅了する彼女の姿
彼女の美しさに魅了されてしまった
翻弄するはずが、翻弄されていく心…

僕の思い描いた展開にならない…

(何が彼女より劣っている…僕の…何が…)

ラウンジでの様子も
卒無く仕事をこなし
女性らしく細やかな気配りまで…
他の生徒には明るく可愛らしく振るい
強気で余裕のある姿……

何故か自分が滑稽に思えてきた

ジェイドやフロイドまで虜にした彼女

(僕はずっと1人だっのに…
 あなたは僕から何もかも奪っていく…)


どうして彼女にココまで掻き乱され…
いつもの様に気丈に振る舞うことも敵わない
冷静な判断も出来ない
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