第12章 ➖溢れでる気持ち➖
「あなたには聞きたいことが山程ある…
少し私と話しをしませんか?」
逃しませんよ
彼の目がそう訴えていた…
『どーぞ…今の私なら何でも話してあげるよ』
ハハッ…と、力無く渇いた笑いをする
「…あなたは昨日フロイドと…
いや…今の質問は忘れてください。
いつから僕を知っているんだ…?」
『あぁ…君が、エレメンタリースクールの頃からだね…』
「ほぉ…だから昔の僕を知っていた?と…
いつまでの僕を知っていて、僕との関係は…
なんなんだ?」
その後も彼からの質問が続き
素直に答えていく
彼との関係性やいつまで関わりがあったか…
そして、僕をどう思っていたか…
この質問には“弟の様な存在“そう答えた…
(本当は違う…最初は本当に弟の様だった。
だけど、惹かれ始めている事に気付いて…
自分の世界に戻って新たな恋をしても
埋められなくて…それで……)
最初の方に彼から出た
フロイドの名前に
あの時彼が言っていた言葉を思い出し
素直に打ち明けようか心が揺らぎ
彼の方を向き言葉を発しようとしたが
思い止まる…
一瞬泣きそうな表情になってしまった
そんな私の表情を見て
一瞬彼の瞳が揺らいだ
動揺しているようだった
「っ…そんな顔しないでください。
僕はあなたを知らない…
知らないハズなのに……どうして…」
何故か悲痛な表情を浮かべる君
そんな表情を見てしまい
自然と身体と口が動く
『ごめん…アズール…あなたにそんな表情…
させたくなかった……ごめん…ごめんね…
わかってる…ちゃんと君から離れるから…』
彼を抱き締め…首元に顔を埋め…
堪えていた涙を溢れさせていた…
『ごめん……ごめんね…お願い…許して……』
涙で上手く喋る事が出来ない
ただただ…今だけは
あなたの温もりを感じさせて下さい…
そう願いながら彼を抱き締めていた。
また遠くから見守る。
君に近づきすぎない様に
遠くから…そんな関係に戻るから
(…好き…大好きだったんだよ…
でも…もう忘れるから…ちゃんと…
忘れるから…きっと…。
あなたに恋した…この気持ちを……)
私の知らない…
今の君の香りと温もりに包まれながら
1人涙を流すのだった…