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あなただけを…

第8章 ➖新たな日常と契約➖


=モストロ・ラウンジ =

「もう見つかりましたか、ご苦労様です 
 式典を無断欠席した……新入生さん?」

クイッと眼鏡を上げ
愛想笑いを向けてくる
が、隠したつもりなのか
彼からは怒りの色が見える…

『アズール…それは謝るけど…なんの用よ?』

彼が嫌味の為だけに呼んだとは思えず
質問してみた

「なんの用?なんて冷たいですね…
 無断欠席について、僕ははあなたとお話し
 をしたかった”だけ”ですよ…」

敢えてそう誇張し
裏が無い事をアピールし私の様子を伺う…

(はぁ…そんなんで騙されるとでも?)

『そんな芝居いいわよ。私にあなたの嘘は
 通用しない。で、なに?契約書の事?
 それとも私に契約でもさせたいの?』

少し呆れつつ冷めた態度で返答すると

「ねぇ〜…2人ってやっぱ知り合いなのぉ?」

「フロイド…邪魔をしてはいけませんよ…
 私も大変気になりますが…」

事前に双子は彼から話しを聞いていたのか
彼の嘘を見破った事から
私に興味を持ち始めていた様子だった…

ニヤニヤと、不気味な笑みを浮かべ
茶化してくる垂れ目の片割れと
制する気など微塵もない……寧ろ
煽る様にするつり目の片割れ…

(なにをそんなに楽しんでるのかしらねぇ…
 この双子は……)

そう思いながらも彼等の質問に答える私…

『まん丸タコちゃんは覚えてないみたいだけど
 …あなたと私は知り合い“だった“…
 それ以上でも以下でも無い…ただそれだけ』

そう言って少し心が痛む
ただの知り合い…彼にとって私は…
過去の人であり、忘れ去った存在…
なら私は彼と距離を取るべきなのだと…
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