第54章 ➖染まるキミ➖
「ジェイド、フロイド、ああ…
やっと戻ってきてくれたんですね……」
少し遅れて彼の元へと辿り着いた私は
彼と目が合った
「ああ… サラ…あなたも戻って…
いや、あなたは違いましたね。
あなたは…また僕を1人にしに来たんだ。
2人に好かれて、みんなに好かれて…
グズでノロマなタコ野郎の僕を…一人に…。
あなたはまた僕を捨てに来たんでしょう!」
『違う!アズール!私は捨ててなんかない!
捨ててなんてないんだよ……!!』
アズールの言葉に胸が痛み
苦しくなった…
彼の表情と声で
全てを読み取る事が出来たから
どれ程の悲しみが彼を襲い
苦しんできたかが伝わる
(私だって…あなたに会いたかったのに…)
「…あぁ、そうか。フフッ…フフ…ッ。
もっともっと能力を吸ってマシな僕に
なればいいんだ。ははっ…あっはっは!!
あなたの能力をよこしなさいーー!」
近くにいた生徒の能力を吸い上げると…
黒いモヤがアズールの体の一部を
包み込む始めていた…
「何だよアレ?
アズールの体から黒いドロドロが出てきてる
墨……じゃねーよな?」
フロイドのその言葉にハッとする
『ダメ…アズール!
それ以上ユニーク魔法を使ったら…
魔法の使い過ぎでオーバブロットする!』
「あーっはっは!あーーーはっはっは!」
叫んだと同時に
全身を黒いモヤが包み込み
アズールの高笑いだけが響き渡る…
モヤが晴れると
オーバブロットした彼の姿が現れた