第31章 ➖オーバブロット➖
−ゴゴゴゴ−
地響きがすると共に
身の毛がよだつのを感じる…
「急速にレオナの魔力が高まって……っ
くっ、魔法封じが、持続できないっ…!!」
「ちがう、これは魔力ではない…
この邪魔な負のエネルギーは…まさか…」
『…オーバブロット…?』
「みんな、伏せろ!」
その言葉に従い身を屈め…
念のため障壁をつくる…
−パチン−
水の魔法で障壁を作り備える
音と共に首輪が弾け飛び
小さな破片が障壁内に漂う…
「リドルくんの魔法封じの首輪が…
吹っ飛ばされた…!?」
「俺は生まれたときから忌み嫌われ…
居場所も未来もなく生きてきた
どんなに努力しても
絶対に報われる事はない…その苦痛が
お前らにわかるかぁアアアアアアアッ!」
言い終わった彼の魔法石が一気に黒く染まる
咆哮した後に、黒いモヤが全身を包み込む
次に姿が見えると
先程彼ではない彼の姿がそこにはあった…
(あぁ…夢で見た…
顔はわからなかったけど…君だったのか…)
「なんだ、ありゃぁ…!?
レオナ先輩の身体から…でけぇ影が!」
「あれはブロットの化身!」
「アイツ…リドルみてぇに
闇堕ちバーサーカー状態に
なっちまったのか!?」
「くっ…立てるものは自力で退避!
エース、デュースは怪我人を連れて外へ!
リリア先輩、先生たちに救援を頼みます!」
「「はい」」
「あいわかった…しばしもちこたえよ」
「ガアアアアァアッ!」
レオナの咆哮が鳴り響く…
「うぇ〜、なんでこんな怖い目にばっかあうの
オレ…こういうの向いてないんだけど!」
『ケイト先輩…
怖いならエース達の元へ行きますか?
私が送り届けましょうか?』
笑みを浮かべ問いかける
「ハハッ…意地悪だなぁ…。
みんなを置いて逃げたらさぁ…
後でボコられちゃう。お供しますよ」
「よくわかんねぇが…レオナ先輩をブン殴って
正気に戻せばいいんだな?」
「オ…オレも手伝うッス…ゴホッ……ッ…
あそこまで言われて寝てられるかってんだ」
「ハイエナ風情が俺に刃向かおうってのか?
ハハハハハ…笑えねぇ冗談だ…
全員明日の朝日は拝めないと思え!」
「アイツを捕まえれば…
マジカルシフト大会に出られる!
気合い入れるんだゾ!」