第5章 霜天のブルーデイ《短編》
〈 No side 〉
吐息が白く染まりはじめ、紅衣を纏った樹々がその木の葉をはらりと散らせるようになった。
吹きつける風がひんやりと冷たく、身体から熱を奪っていくようになった頃。
マネージャーが風邪をひいた。
澄みきった寒空の下、朝練へ向かう途中で合流したいつものメンバーと談笑しながら歩いていると、
へっくしょんっ!
少し大きめなくしゃみがひとつ。
『ゔう、寒気する…』
治「宇佐美大丈夫か?」
銀「最近寒くなってきたしな」
侑「にしても色気のないくしゃみやな」
角「なんとかは風邪ひかないって言うのにね」
『…ちょっと?』
治「でもこの前ツムがひいたから、それ嘘やんな」
侑「うっさいわサム!」
銀「てか、侑のがうつったんちゃう?」
『あり得る…』
治「最低やな、ツム」
角「同意」
侑「だーーッ!何なんお前ら?!すまんて!」
ア「喧しいわ侑ー!」
冷たい空気と相反するように、熱量のある議論を繰り広げていると、後ろから歩いてきていた先輩の尾白から喝が入る。
朝から騒がしい一行が体育館に着くまであと少し。