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〈HQ〉いいなりマネージャー【稲荷崎/R18】

第4章 終わりのないメランコリー《宮治》





「……暗いな。」




さっきまで練習で使っていた体育館は、陰々とした薄墨色に染まっていた。

部員ひとりいなくなったその空間は、とても部活中と同じ場所とは思えない。いつもは必ずメンバーがいて、ワーワーと喧しくて暑苦しい場所なのに、誰もいなくなった体育館はひっそりとした静寂に包まれている。

窓から射し込む月明かりがぼんやりと辺りを照らし、昼間とは違う幻想的な空間を作り出していた。








二人を探しにきたんやった。

その情景に目を奪われ、本来の目的を忘れかけていたが、突然ふと我に帰った。




『……ぁあっ、!』




どこかから聞こえてきたのは女の声。




どくん。





この声って………
聞こえてきた声はいつも慣れ親しんだもので。





声が聞こえてきた方向へ、音を立てないようゆっくり進む。





『……りん、たろ…ぅ』






どくん。





それは紛れもなく穂花の、恋焦がれる人の声だった。













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