第2章 次なるミゼラブル《角名倫太郎》
突然聞こえてきた音に怯える穂花。
まあこんな姿を見られたんじゃ、停学処分は免れない。
実際には扉を閉めた時に閊えをしてあるから、開けられることはないのだけど。
そうとは知らない穂花は、扉に祈るような視線を向けている。
コツコツと近づいてきた足音は倉庫の扉の前で止まった。
どうやら日直の教員らしく、そのまま中を確認するわけでもなくガチャリと鍵を閉めていってしまった。
まさか倉庫内ででこんな事が行われているなんて、夢にも思わないだろう。
見つからなかったことに穂花が安堵したのも束の間、
今度は閉じ込められたことに気付き、さーっと顔が蒼くなる。
俺にはないその表情筋の豊かさに、思わず笑ってしまう。
『…す、すな………どう、しよう、……』
まあ、内側から開錠できる鍵は持っているけれど
それはまだ秘密にしておこう。
とりあえず、
『ひぁあ、ッ!』
「角名、じゃないでしょ」
まずはお仕置きかな。
花芽をぐりっと押し潰した。
「せっかくだし、まだまだ楽しもうよ」
俺の言葉に絶望、といった顔の穂花にゾクゾクした。
ああ、これからの日々が楽しみだなあ。