第2章 次なるミゼラブル《角名倫太郎》
〈 side 角名 〉
宇佐美穂花。
それが、俺たち稲荷崎高校男子バレーボール部たった一人の女子マネージャーだ。
見た目は小柄、こんな巨人だらけの場所にいるから尚更小さく見える。
顔は……まあ結構、いやかなり整っている方だと思う。
でもそんな小さな宇佐美がいなかったら、正直なところ俺らの部活は回らないと言っても過言ではない。
自身のバレー経験と優れた観察眼による抜群の分析力で、選手一人ひとりに最適な練習法や食生活の助言をくれる。
そのアドバイスがあったからこそ、今年のIH準優勝という結果までたどり着けたようなものだ。
そして、宇佐美のいる意味はマネージャーとしての手腕だけではない。
俺ら選手の精神的な支えというか、キツい練習に耐えるための癒し的な存在でもあるのだ。
宇佐美自身の仕事もかなり大変なはずなのに、選手と接するときは笑顔を絶やさずどんな時でも親切に対応してくれる。
クラスや他校でも宇佐美に言い寄ってくる奴は割といるけど、
部員内での人気も絶大なもので、先輩たちからの信頼も厚い。
まあ、当の本人はそんなこと全然気付いていないだろう。
選手優先、チーム第一の根っからのマネージャー気質だ。
ふと隣の侑を見ると、部活中にも関わらず、あるものに熱い視線を送っていた。
視線の先には、テキパキと働くマネージャーの姿。
コイツも意外とわかりやすいよな、
宇佐美の白い項をガン見している侑を見て思う。
侑が抱いている感情が恋愛的なものはわからない。
けれど侑の考えていることはよくわかる。
だって俺も同じ気持ちでいるからね。
それにしても、イイ脚してるんだよなぁ。
侑と同じ方向へ視線をずらす。
極端に細すぎず、ほんのり肉付きの良い柔らかそうな太もも。
制服の短いスカートから覗く脚線美はたまらない。
撫で回してその柔らかさを堪能したいと思ったことは、正直1度や2度ではない。
部活中は長ジャージを履いているから見えないのが惜しいな、なんて。
まあ、本人は北さんに気持ちがあるみたいだし。
相手があの北さんなら、別にどうこうするつもりもないしできるはずがない。
そんな風にぼんやりと考えていた。