第2章 清水 潔子の姉の場合
ハーツラビュル寮所属で副寮長を務めている3年のトレイ・クローバーは自室で頭を抱えていた。
異世界からやって来たという自称成人済み(トレイから見たら自分と同い年か歳下に見える)で食堂で働いたり、教師達の雑用をしている・シミズという男がトレイは気になっていた。
最初は前の世界でパティシエ(詳しくは見習い)として働いていたと聞いてケーキ屋の息子として興味を持った。
ただそれだけのはずだったのに。
気がつけばと一緒にケーキを作って試食する時間がとても大切なものに感じ、ふとした瞬間にの事を考えてしまい授業や部活に身が入らなくなった。
(俺は同性愛者じゃなかったはずなんだけどな……………)
トレイは深くため息をついた。
が他の男と笑顔で話をしているところを見ただけで嫉妬で狂いそうになる自分がいる為、トレイはこの気持ちを恋と否定できなかった。
恋していると自覚をしているのにトレイはにアプローチをかけることができなかった。
それは自分自身がまだ学生なこととが異世界からやってきたことがあるからだ。
学生なのは卒業してしまえば問題ないが、が異世界からやって来たことに関してはどうしようもできなかった。
" 突然来たから突然元の世界へ帰るかも "
2人で試作のケーキを作っていた時にが冗談っぽく言った。
そう言われた瞬間、トレイはその事にショックを受けた。
トレイはが異世界から来たと聞いていたのに異世界に帰る事を全く考えていなかった。
むしろ冗談でそう言えるという事は仲良くしている自分との別れを惜しんでくれないのか………と悲しくなった。